かりそめ婚!?~俺様御曹司の溺愛が止まりません
「喜美江に、他の男性と結婚すると告げられたとき。俺たちの関係はその場しのぎだったんだと、はっきりと気がついた。
俺は、彼女との結婚なんて、これっぽっちも考えていなかった。一時的な快楽ばかり追いかけて、彼女との将来なんて真面目に考えようともしていなかったんだ。
彼女が結婚したかったのだと気づいたとき、自分と彼女のベクトルが違うのだと思い知らされた。俺は子どもだったんだ」

彼の指先が、私の頬を撫でる。耳のうしろをすべり後頭部へまわり、優しく私を引き寄せてそっと抱きしめた。

「今、俺は、自分が守るべき相手が誰なのか、はっきりと理解している。それは喜美江じゃない。わかるな?」

半信半疑ではあるけれど、きっとこの優しい抱擁が答えだ。

彼が守ろうとしているのは、私。

こくりと頷き、彼の肩に顔を埋めて瞳を閉じる。
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