かりそめ婚!?~俺様御曹司の溺愛が止まりません
出だしから甘やかされた上に、主導権を握られてしまった。いつだって私は弄ばれる側だ。

実家の前で、こんな濃厚なキスを……お父さんやお母さんは、見ていなかったよね?

颯志くんは戸惑う私の首筋を撫で、瞳を色っぽく細める。

「そんな表情を見せられると、一日の予定を全部すっ飛ばしてベッドへ行きたくなるよ」

本気でそんなことを言ってくれてるの? それとも、リップサービス?

もう一度軽くキスを落とすと、颯志くんはあらためて正面を向き、シートベルトに手を伸ばした。

「あ、待って、颯志くん」

私はバッグからハンカチをとり出して、彼の顔に手を伸ばす。私のリップが彼の唇について、わずかだけれど桃色に染まってしまっている。

「悪いな。瑠莉のメイク、さっそく崩して」

「まさかこんなに早くリップがとれちゃうなんて思いませんでした」

彼の唇をハンカチで拭うと、じぃっと私を見つめていた彼は、突然火がついたように私の体を抱きすくめた。
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