かりそめ婚!?～俺様御曹司の溺愛が止まりません

まるで颯志くんは、喜美江さんから逃げようとしているように見えるから。

颯志くんが未練を持っているのかいないのか、本当のところはよくわからないけれど、いずれにせよ一度ちゃんと向き合った方がいい。きっと通らなくちゃならない道だから。

「瑠莉……」

「じゃあ、あのお店で待っていますね」

ふたりにペコリとお辞儀をして、私は近くの交差点を渡り、指定したカフェを目指した。

もし、颯志くんが私のところに戻ってきてくれなかったら……。

少しだけ不安が胸をよぎるけれど、きっと大丈夫。颯志くんを信じている……。

カフェの前に辿り着いたところで、道路を挟んで反対側にある歩道に目を向けると、喜美江さんが颯志くんに向かってなにかを必死に訴えている様子が見えた。

颯志くんの方は、私に背中を向けていて、どんな表情で彼女の話を聞いているのかわからならい。

余計な詮索をしてしまう自分を抑えて、カフェの入り口に手をかける。