かりそめ婚!?~俺様御曹司の溺愛が止まりません
「で、でも、どうしてこの場所が?」

「母さんに聞いたんだ。今日はウェディングサロンに行ってたんだって? かわいいドレスは見つかった?」

「もしかして、喜美江さんがここにいたのも……」

「ああ。俺が教えた。兄貴と、話したいことがあるそうだから」

沙之くんは朗らかに笑いながらも、抗えないくらいの強い力で私の腕を引っ張って歩いていく。

約束したカフェからどんどん遠ざかっていくことに、私は若干焦りを覚えた。

「どこへ行くの? 私、あの店で待っていないと――」

沙之くんの手を強引に振り払うと、彼は三歩進んだところで私を振り返り、わずかに視線を鋭くした。

「どうして兄貴は、瑠莉ちゃんを結婚相手に選んだんだろう」

「え……?」

「絶対に裏切らないから? 従順だから? 都合がよかったから?」
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