かりそめ婚!?~俺様御曹司の溺愛が止まりません
不躾な問いかけとともに、沙之くんは一歩、二歩と私へ近づいてきて真正面に立った。

沙之くんも颯志くんと同じくらい身長があって、私より頭ひとつ分大きい。

上から威圧的に見下ろされて、いつもはかわいらしい沙之くんでさえも、今は恐ろしく感じられた。

「瑠莉ちゃんって、お手軽な女だね」

「っな……」

反論しようとした瞬間、唐突に肩に腕を回されて乱暴に体を持っていかれた。

「沙之くん!?」

「暴れないで。周りから変な目で見られちゃうよ」

困った顔をされて、私は一瞬たじろぐ。

自分より年下であることもあり、どうしても沙之くんには甘くなってしまう。こんなことをされて不満だけれど、彼のことを憎むことも出来ない。

抵抗出来ず大人しくなった私を見て、沙之くんは満足そうに微笑む。

強引に私を連れ去って、やがて歩道の脇に停めてあった車の後部座席に私を押し込もうとする。
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