かりそめ婚!?~俺様御曹司の溺愛が止まりません
「っやだ、沙之くん、やめてよ!」
「瑠莉ちゃんは悔しくないの? 兄貴の都合に振り回されて、これから一生、兄貴のお飾りになるんだよ?」
驚いて沙之くんを覗き込む。目が合うと沙之くんは、ギッと奥歯をかみしめて私を掴む手に力を込めた。
「兄貴は自分にとって都合のいい、文句を言わないお人形さんを横に置いておきたいだけなんだ。あんたは兄貴の装飾品の一部になり下がるのか!?」
「ち、違うよ、颯志くんはそんなこと思ってなんか――」
「じゃあ、どうしてあんたを選んだんだよ! 一番近くにいたお手軽な女を選んだだけだろ」
「そんなこと――」
ないって言える……?
沙之くんの言うとおり、確かに私は、きっとなにを言われても従ってしまうし、颯志くんのためなら文句も我慢して飲み込むだろう。
なにしろ、六年間、連絡のひとつももらえなくても、再会して一日で結婚を承諾してしまうような女だ。
それでも、颯志くんを昔からよく知っているとか、お父さまとお母さまに気に入ってもらえているとか、私なりの自負があった。
けれど――。
「瑠莉ちゃんは悔しくないの? 兄貴の都合に振り回されて、これから一生、兄貴のお飾りになるんだよ?」
驚いて沙之くんを覗き込む。目が合うと沙之くんは、ギッと奥歯をかみしめて私を掴む手に力を込めた。
「兄貴は自分にとって都合のいい、文句を言わないお人形さんを横に置いておきたいだけなんだ。あんたは兄貴の装飾品の一部になり下がるのか!?」
「ち、違うよ、颯志くんはそんなこと思ってなんか――」
「じゃあ、どうしてあんたを選んだんだよ! 一番近くにいたお手軽な女を選んだだけだろ」
「そんなこと――」
ないって言える……?
沙之くんの言うとおり、確かに私は、きっとなにを言われても従ってしまうし、颯志くんのためなら文句も我慢して飲み込むだろう。
なにしろ、六年間、連絡のひとつももらえなくても、再会して一日で結婚を承諾してしまうような女だ。
それでも、颯志くんを昔からよく知っているとか、お父さまとお母さまに気に入ってもらえているとか、私なりの自負があった。
けれど――。