かりそめ婚!?~俺様御曹司の溺愛が止まりません
「……瑠莉さんとは、うまくいっているの?」

「いってなかったら、結婚などしない」

なんだか回りくどい台詞ばかり出てきて、苛立ちが募る。いったいなにが言いたいんだろう。

「……よかった。颯志くんは今、幸せなんだね」

「人の幸せの前に、自分の幸せを心配しろよ。直喜は元気なのか?」

直喜とは、彼女の息子の名だ。当時は三歳だったはずだから、そろそろ九歳になる頃か。もうランドセルを背負っている年頃だ。

「元気にしてるわよ。主人とは別れちゃったけれど、私の収入も安定したし、不自由なくやってるわ」

「……そうか」

唯一の気がかりも消えて、胸がスッと楽になる。もうこれ以上、本当に俺は彼女と話すことなどなにもない。

「で。喜美江はなにを気にしてるんだ」

「……ずっと謝りたくて。あなた、私のせいで家を出ていったんでしょう?」

「ああ……」
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