かりそめ婚!?~俺様御曹司の溺愛が止まりません
「ああ。あんたのせいだ。女とまともに向き合うのが無駄だと感じるようになったのは」

俺の言葉に喜美江が頭を下げたまま固まる。

「だが、今は瑠莉がいる。だから、あんたには感謝している。瑠莉以外の女性と余計な深入りをせずに済んだからな」

それに、彼女を恨んでいないというのは本心だ。

彼女はまだガキだった俺に、大人の男の在り方を、そして女性との正しい向き合い方を考えるきっかけをくれた。

俺が真剣に女性と向き合ってこなかったのは、中途半端な態度をとって相手を期待させてしまわないように、だ。

結婚を考えていない相手に真剣な振りをする方が、逆に残酷だろう。

相手の本気を察知すると、自然とストッパーがかかる――恋愛が出来なかったのはそんな理由で、喜美江との恋愛の末に生まれた副産物だった。

「言い方が悪かったな。俺はあんたに感謝こそすれ、恨んでなどいない。今さら気にしないでくれ。あんたはあんたで、幸せになってくれればそれでいいから」
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