かりそめ婚!?~俺様御曹司の溺愛が止まりません
「瑠莉!」

「えっ、颯志くん!?」

俺は急いで瑠莉のいるカフェに向かって走り出した。が、途中で交差点に阻まれる。

「どうしたの颯志くん! 突然走り出して」

「沙之の狙いは、瑠莉かもしれない」

「え?」

喜美江はさっぱりわからないといった顔で目を丸くする。

当然だ。俺にだって、沙之がどうしてここまで俺を邪険にするのかがわからない。

「ねぇ。ずっと不思議に思っていたんだけれど、どうして颯志くんと沙之くんはそんなに仲が悪いの?」

「俺が聞きたいくらいだ」

おそらく、あいつは俺に対して、劣等感を抱いているんだろう。

幼い頃は病気がちで外に出られなかったし、そのせいかただでさえ成長のペースが他人よりも遅かった。

だが、今では立派に働いているし、兄である俺が言うのもなんだが、優秀な方だと思う。

とはいえ、やはり歳が離れているせいで、父や母が頼りにするのは俺の方で、沙之にとってはそんな俺の存在が疎ましいのかもしれない。
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