かりそめ婚!?~俺様御曹司の溺愛が止まりません
颯志くんが私のことをどう思っているかなんて知らない。考えたってわからない。

もしかしたら、便利で都合のいい女だと思っているのかもしれない。

――でも。

「颯志くんが、私を必要だと言ってくれたから――」

たとえ心の中に、別の人への愛が存在していたとしても。

それでも『妻』として選んだのが私だっていうなら――私を利用してくれるなら。

「それが『特別』である私の役目だとするなら、私は――」

そこに私の居場所があるのなら。少しでも彼を支えることが出来るのなら。

「私は、颯志くんの役目の一部を担うことができるのなら、それでいいから!」

「そんなのって――」

強く体を揺すられて、思わずぎゅっと目をつむる。沙之くんの頭からキャップが落ちて、颯志くんと同じ質感の黒髪があらわになる。
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