かりそめ婚!?~俺様御曹司の溺愛が止まりません
「自分は使い捨ての駒だって認めているようなものじゃないか」

「駒でいいの。颯志くんが必要だと思ってくれるならそれで――」

「そんなのあるかよ!」

沙之くんが、掠れた声を響かせたとき。

「瑠莉!」

元来た道の向こうから私を呼ぶ大きな声が響いて、ハッと目線をそちらへ向けた。

颯志くんが走ってくる。そのうしろに、喜美江さんの姿も見えて――。

「ちっ。気づかれたか」

沙之くんは私の体を解放すると、開き直ったように緩慢な動きで落ちたキャップを拾う。

「沙之! 言ったはずだ、瑠莉に手を出すなと」

私の元へ辿りついた颯志くんは、私の体を抱きしめると、沙之くんから守るように距離を取って、数歩うしろへ下がった。
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