かりそめ婚!?～俺様御曹司の溺愛が止まりません

「……沙之くんはかまってもらいたいのよ」

そう口にしたのは喜美江さんだった。

「いじけているんだわ。颯志くんに自分のことを見てほしいのよ」

「どうしてわかるんだ？」

「だって、息子と同じだもの」

「八歳の息子と沙之が一緒なのか？」

弟がバカにされたと思ったのだろうか、颯志くんはちょっぴり嫌そうな顔をする。

「歳なんて関係なく、人間の本質は同じよ」

きっぱりと言い切った喜美江さんに賛同したのか、颯志くんは呆れたように額に手をあてた。

「俺だって和解したいさ。出来ることなら、手を取り合って親父の会社を支えていきたい。だが、これだけ嫌悪感を丸出しにされちゃな」

お手上げといった表情で首を振る。喜美江さんは、そんな颯志くんの背中を力強くパンと叩いた。