かりそめ婚!?~俺様御曹司の溺愛が止まりません
学校では禁止されているけれど、なにかあったときのために、とお母さんが持たせてくれている。ランドセルの一番奥にこっそりとスマホが隠してある。

颯志くんは、私の手からスマホを受けとると、自分の電話番号とメールアドレスを登録してくれた。

スマホを受け取って、ぎゅっと胸の前で抱きしめる私を見て苦笑する。

「……仕方ねぇな。ほら、おいで」

颯志くんはカーペットの上に長い脚を伸ばすと、広げた脚の間に私を入れて、うしろからぎゅっと抱きしめてくれた。

私がすごくえらかったときとか、すごく落ち込んでいるときにだけ、こうしてご褒美のぎゅーをしてくれる。

颯志くんの胸に背中を預け、回された手に腕を絡めていたら、途端に私は笑顔になった。

こうしていると、颯志くんを独り占め出来た気がして、すごく幸せな気分になる。

「……これも、今日で最後だからな」

「えっ!?」

私は驚いて振り返った。最後って、どういうこと? もう、ぎゅーしてくれないの?
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