かりそめ婚!?~俺様御曹司の溺愛が止まりません
ホテルの地下駐車場に車を停めて、私と颯志くんは最上階にあるバーへ向かった。
上品なジャズが流れるセピア色をした空間で、拓真さんはカウンターの中央の席をふたつ空けて私たちを待っていてくれた。
「あらためて紹介する。婚約者の瑠莉だ」
「それはそれは。ご婚約おめでとうございます」
カウンターについた私たちを拓真さんは笑顔で歓迎して、バックバーからリキュールの入ったボトルを取り出す。
「とうとう颯志さんも身を固める決意をされたんですね。安心しました」
「なんだか棘のある言い方だな」
「お祝いの席ですし、詳しくは言わないでおきますよ」
たぶん、颯志くんの過去の女遊びのことを言っているのだろうけれど、深くは言及せず、笑顔でお祝いのお酒をシェイクしてくれた。