かりそめ婚!?～俺様御曹司の溺愛が止まりません

その瞬間、コンコン、と控室のドアがノックされた。

颯志くんが戻ってきたのだろうか？

私が「はい」と声をかけると、ゆっくりとドアが開かれ、そこにいたのは――。

「……沙之くん」

パーティー用のスーツに身を包んだ沙之くんだった。

ゆっくりと部屋の中に足を踏み入れ、「おはよう瑠莉義姉さん」どこかわざとらしくそう挨拶する。

――ただひとつ気になっていたこと、それは、颯志くんと沙之くんの確執。

一年前、険悪なまま別れて以来、一度も真正面から話し合いをしていないのだという。

颯志くんはなんとか歩み寄ろうと、沙之くんに声をかけたそうなのだが、逃げられ避けられ、まともに話しが出来ていないまま今日に至るらしい。