かりそめ婚!?~俺様御曹司の溺愛が止まりません
「綺麗なドレスだね、早く着ているところを見てみたいよ」

トルソーに飾られたウェディングドレスを前にして、沙之くんはポケットに手を突っ込んだまま気だるげに感想を漏らす。

私たちの結婚をどう思っているのか、その表情からはうかがい知れない。

「ありがとう……来てくれて」

「そりゃあ来るよ。一応、肉親だもん」

「でも、沙之くんは、お祝いしてくれないかもしれないと思ったから」

「兄貴のことは、相変わらず目障りだよ。だから、正直どうでもいいね」

正直に打ち明けてくれたことを誠意だと思うべきか……でも私は、出来ることならちゃんと兄弟で話し合って、和解して欲しいと思っている。

「……どうして颯志くんのこと、そんなに嫌っているのか教えてくれない?」

歩み寄りながら恐る恐る尋ねると、沙之くんはドレスを眩しげに見つめながら、淡々と口を開いた。
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