かりそめ婚!?~俺様御曹司の溺愛が止まりません
「瑠莉ちゃんは満足したみたいだね、兄貴の正妻ってポジションで。愛されてないのをわかってて妻の顔を演じるのって、楽しい?」

挑発的な笑みを浮かべて、私の顎に指を添わせる。

私はその手を拒み押しのけると、負けないくらい強い眼差しで沙之くんを見つめ返した。

「演じてなんかいない。私、颯志くんに愛されてるもの」

「おっと。一年ですごい自信がついたね」

「私だけじゃない。沙之くんだって、愛されてる」

「は?」

沙之くんの表情が不機嫌に歪む。

一拍置いて怒りが心頭したのか、掴みかかりそうな勢いで私の方に体を寄せた。

「いったいなにを見たらそう思えるんだよ! 兄貴は、俺のことを役に立たないお荷物としか――」

「颯志くんは、いずれ沙之くんと一緒に、お父さまの会社を支えていきたいって言ってた。仲直りしたいって、ずっと願ってる」

「嘘だ! 兄貴も親父も、俺を厄介払いした!」
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