かりそめ婚!?~俺様御曹司の溺愛が止まりません
破れたドレスに目を向けて、「まぁ……」すぐに状況を察したらしく、眉根をひそめてドレスへと近づいていった。

「式まで、あとどれくらいあるの?」

「十一時には、リハーサルと写真撮影が」

脇にいたスタッフが答えると、喜美江さんは「OK!」と言って軽快に頷いた。

「後、一時間半ってところね。このドレスをなんとか形にすればいいんでしょう?」

頼もしい言葉に、私や颯志くん、沙之くん、そしてみんなの視線が喜美江さんへと注がれる。

「最初のデザインとはちょっと違ってしまうけれど、もっともっとゴージャスなドレスにバージョンアップしてあげるわ。誰か、受付から私がお祝いで送ったお花を持ってきてくれるかしら?」

パチン、と指を鳴らして、喜美江さんがウインクした。

その力強い笑顔に、周囲の面々が安堵したのはもちろん、私や颯志くんの胸にも希望の光が差し込んできた。
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