かりそめ婚!?~俺様御曹司の溺愛が止まりません
嘘……嘘でしょう? いったい突然、なにがどうしたっていうの? ずっと電話どころかメールすらくれたことなかったのに……。

彼と話をするには勇気と心構えが必要だ。

だって私、彼と最後に会った六年前のあの日、コテンパンに振られてしまったのだから。

恐る恐る通話ボタンを押し、耳にスマホを押し当てると。

『もしもし? 瑠莉(るり)? 颯志だけど』

彼――颯志くんの、男らしくて、低くて、懐かしい声が、私の耳に流れ込んできた。

「あ、は、はい、瑠莉です!」

緊張と困惑で、情けないほどしどろもどろである。

落ち着け、落ち着け、と必死に自分に言い聞かせるけれど、鼓動は今やフルスピードで、お風呂あがりの火照った体がいっそう熱を放っている。
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