かりそめ婚!?~俺様御曹司の溺愛が止まりません


厳かなパイプオルガンの旋律がチャペルの外まで響いてきた。入場の合図だ。

大きな両開きの扉の前、式場のスタッフに囲まれて、私の左隣にはブラックのテールコートを着たお父さん、右隣には黒の留袖を着たお母さんが私の腕を取っている。

私の希望で、バージンロードは両親一緒に歩かせてもらうことになった。

やがて、扉がゆっくりと開け放たれ、眩しい光と美しい音色が私たち三人を包み込む。

長く続く真っ白なバージンロード。その先に佇む颯志くんの姿。

両側にはたくさんの来賓が、チャーチベンチの前に並び、私たちの歩みを温かな眼差しで見守っている。

一歩踏み出すごとに、レースの裾がバージンロードを優美に伝う。

私の左腰には真っ白なバラが豪奢なフリルのように折り重なって、裾の下まで続いていた。
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