かりそめ婚!?~俺様御曹司の溺愛が止まりません
子どもの頃のように、彼女の背中に手を回し、トントンとリズミカルに叩いてやると、瑠莉はすぐに眠くなったようで、口数が一気に少なくなった。

「……颯志くん……大好き……」

……あどけない顔で、まどろんでんじゃねえよ。

すぐにその大きな瞳は閉じて、力を失くした唇は半開きになる。そこそこ成長したとはいえ、まだ眠気には勝てない歳みたいだ。

……で? ベッドを占領された俺はどうすればいいんだ?

さすがにここで一緒に寝るわけにはいかないだろう。親に見つかったら大目玉を食らう。

なにしろ、うちの親は瑠莉を娘のようにかわいがっているから、どんな理由があろうとも悪者は瑠莉ではなく、実の息子の俺だろう。

朝起きてこいつが部屋にいないことがバレたら厄介だ。

瑠莉を部屋まで運ぶことを決意し、俺はベッドから這い出した。

瑠莉が深く眠りについたことを確認すると、起こしてしまわないように、そうっと横抱きにして部屋を出る。
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