かりそめ婚!?~俺様御曹司の溺愛が止まりません
瑠莉の部屋まで、誰ともすれ違わなかった奇跡に感謝だ。

塞がった手でなんとか器用にドアを開け、ベッドへと寝かせる。

そっと布団をかけて、去り際に瑠莉の寝顔をまじまじと見つめた。

幼い頃から、ずっと一緒だもんな。

瑠莉は小さい頃から俺のことを未来の旦那さまとして認識している。

小学生にもなれば、さすがに「お嫁さんにして」とは言わなくなるかと思いきや、高校生になった今でもまだ言っている。

俺にとっては、守ってやりたい大事な妹みたいな存在で。そういう意味では特別であることは確かだ。

瑠莉の白くて柔らかい頬に触れ、数年前よりぐっと大人びた首筋に指を這わす。

どんなに年を重ねても、色っぽく育っても、俺にとっては大切な――。

「だからこれは、愛じゃない」

そう自分に言い聞かせるように呟いて、瑠莉の顔に唇を近づけた。

ふんわりと柔らかいピンク色のそれに、自身のをそっと重ねる。

彼女の唇の温かさを、この瞬間初めて知った。
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