かりそめ婚!?~俺様御曹司の溺愛が止まりません
「おやすみ。瑠莉」

彼女の艶やかな黒髪をひと撫でし、部屋の電気を消す。

音を立てないようにそっと部屋を出てドアを閉める。

自分の部屋へと戻りながら、今しがた彼女に重ねた自分の唇に触れた。

――愛なんかじゃ、ないんだ。

言い聞かせるように、何度も、心の中で反芻する。

当時の俺は、二十一歳とはいえ、まだまだ未熟で、自分の気持ちに説明をつけることなんて出来なかったんだ。
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