かりそめ婚!?~俺様御曹司の溺愛が止まりません
慌てて身を引こうとしたそのとき、彼の大きな手のひらが私の後頭部を掴んで、自分の方へと引き寄せた。

倒れそうになり、咄嗟に手をついた先は彼の胸の上。

筋肉質な胸板のど真ん中に手を置いてしまって――。

わっ! どうしよう! 触っちゃった!

私は慌てて逃げ場を探すけれど、彼の腕は私を解放してはくれなかった。

そのまま私の頭を押さえつけ強引に自分の元へ持っていくと、わずかに口を開いてパクリと一口、私の唇を食んだ。

吸いつくように舐めとられ、チュッと言う淫靡な音が鳴り、頭が真っ白になる。

嘘……!? 今……!!

彼の瞳と五センチの距離を開け、じっと固まっていると。

「おはよう。瑠莉」

真面目な顔で当然のように挨拶をされ、私は面食らってしまった。
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