かりそめ婚!?~俺様御曹司の溺愛が止まりません
「……おはようございます」

ひどく混乱した頭で、律儀に返事をする。

どうしてキスしたの……?

なにを考えているの……!?

そう問いただしたいけれど、恐ろしくて口に出すことができない。

「ゆうべのことは、覚えているか?」

そう尋ねられたけれど、『ゆうべのこと』というのがなにを表しているのかがわからないし、どちらにせよ途中で記憶が途切れていたから、私はふるふると首を横に振った。

「そうか……」

彼は叱るでもなく、呆れるでもなく、淡々とした表情のまま納得してしまったみたいだ。

「あの……颯志くん?」

彼の腕はいつまでも私に回ったままだし、私の上半身も彼の上に乗ったままだ。

助けを求めるように彼の言葉を待っていると。

「瑠莉。頼みがある」

私の瞳をいつになく真剣な表情で見つめて、彼は切り出した。

「……俺と、結婚してくれないか」




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