かりそめ婚!?~俺様御曹司の溺愛が止まりません
「親父。瑠莉を連れてきたよ」

「……おお。瑠莉ちゃんか。立派になって」

私の姿を見るとお父さまは、こけて皺の多くなった顔を嬉しそうに綻ばせ、上半身を起き上がらせようとした。

「寝てろよ、親父」

そう颯志くんにたしなめられて、お父さまは渋々ベッドに背中をつける。

代わりに、颯志くんは私の手をとって、お父さまの近くまで引っ張っていった。

ふたり並んでベッドの脇に立ち、仲のよさを強調するようにきゅっと指先を絡める。

手を繋ぐことは、予め打ち合わせしていた通りだったけれど、嘘でも胸がトクンと高鳴った。

「瑠莉と、結婚しようと思います」

宣言した颯志くんの隣で、私は練習通り、ニコニコと緩やかな笑みを浮かべてみせた。
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