かりそめ婚!?~俺様御曹司の溺愛が止まりません
「そうか……よかった。本当によかった。相手が瑠莉ちゃんなら、安心して颯志を任せられる」

涙を交じらせた掠れ声で、お父さまは私に手を伸ばす。

「どうか、父と呼んでくれ。娘がほしいとずっと願っていたんだ」

「……ありがとうございます、お父さま」

差し出された手に両手を添えると、お父さまは満足そうにぎゅっと力を込めて握り返してくれた。

まるで息子をよろしくと、祈りを込めるように。

「ほら、親父。そんなに強く握っては。瑠莉も困っている」

「なんだ。父に向かって嫉妬か?」

お父さまの軽口に、元気そうだと安心したのかもしれない、颯志くんは口元を緩める。

「お前は本当に、昔から瑠莉ちゃん瑠莉ちゃんとうるさかったな」

「やめろよ、親父。いつの話だ」

「あの頃からお前は、瑠莉ちゃんを嫁にもらうと言ってきかなくて――」

「……親父。子どもの頃の話だろ」

「そうだったか? 物心くらいはあっただろう」
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