かりそめ婚!?~俺様御曹司の溺愛が止まりません
『難しい手術になる。成功したとしても、以前のように最前線で働くのは無理かもしれない。そもそも親父は手術を嫌がっていて、生きることをあきらめている』

今、社長の座は実質空席で、周囲の社員が必死にやりくりしているのだという。

そして、もうすぐその席に座るのは颯志くんだ。手術が終わったとき、結果次第では即座に颯志くんが社長に就任する。

『なんとかして、親父に生きる希望を持ってほしかった。いろいろ考えたが……これしか思いつかなかったんだ』

そう言って颯志くんは、私へ『結婚してほしい』と頼み込んできた。

私と身を固めることが、お父さまへの最大の親孝行だと信じて。

たぶん、颯志くんは、私のことを愛していない。

私を相手に選んだのは、お父さまが私のことを娘のようにかわいがっていたからだろう。だから、お父さまが一番喜ぶ私に白羽の矢を立てた。
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