かりそめ婚!?~俺様御曹司の溺愛が止まりません
「ここが俺の部屋だ。まだ覚えてるか?」

そう言って案内された部屋は、お父さまの部屋とは反対側にある長い廊下の一番端だ。

幼い頃に来たきりの颯志くんの部屋は、ガラッとイメージが変わっていて、調度品も大人びたものへと置き換えられていた。

「ここは、昔の面影がありませんね」

彼が座っていた机も、私が勉強を見てもらっていたローテーブルもなくて、思い出が捨てられたような寂しい気持ちになる。

「学生時代の勉強机を残しておいても仕方ないだろう。もう実家も出てしまったわけだし、たまに帰ってきたとしてもベッドくらいしか使わないんだ」

とはいえ、一応執務卓なども置いてあり、きっといつ帰ってきてもいいように毎日丁寧に掃除されているんだろう。
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