かりそめ婚!?~俺様御曹司の溺愛が止まりません
「そういえば、どうして颯志くんは、こんなに立派なお家があるのにひとり暮らしを始めたんですか?」

ひとり暮らしを始めたのは、お父さまの会社で働き始めて、二、三年経った頃だろうか。私が告白して振られたすぐ後のことだから、よく覚えている。

「それは……いろいろと、な」

言いづらい理由でもあるのか、颯志くんはぼんやりとした言葉でごまかして――。

「瑠莉」

話題を逸らすかのように、おもむろに私の肩に手を回し、優しく抱きしめた。

「ゆっくりと恋愛する時間が持てなくてすまない。こんな形になってしまったけれど……俺は」

それは懺悔なのだろうか。気遣う颯志くんの言葉を塞いで、私は首を横に振る。

わけあり婚……それでも、彼は私を必要としてくれたのだ。そしてお父さまも喜んでくださっている。

私と籍を入れてもいいと決断してくれただけで満足するべきだろう。
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