かりそめ婚!?~俺様御曹司の溺愛が止まりません
「光栄です。颯志くんにプロポーズをしてもらえて」

そう答えつつも、目を合わせることは出来ない。

颯志くんは罪を償うように私の顎を押し上げ、キスを落とそうとするけれど、私にその気がないのを察して途中でやめた。

夕方からは、颯志くんのお母さまと会食をする予定だ。そして明日は、私の家族への挨拶。

やることが山ほどあって、目が回りそうだけれど、これくらい忙しい方が深く悩まなくて済むからちょうどいいのかもしれない。

「そろそろ、待ち合わせ場所に向かうとするか」

颯志くんのお母さまは、今、『神楽ホールディングス』で役員の仕事をなさっている。

今日、お母さまもお休みを取ってくださるはずだったのだが、どうしても抜けられない急なお仕事が入ってしまい、会食は仕事が片付いた後、夕方からとなった。

会社の近くにある懐石料理店に現地集合する手はずになっている。
< 60 / 218 >

この作品をシェア

pagetop