かりそめ婚!?~俺様御曹司の溺愛が止まりません
ひと際大きな荷物が搬入されて、エントランスホールに仮置きされた。

中には花や大きな花瓶、生け花に使う装飾品などが傷つかないように梱包されている。

花は生け終わった状態では運べない。花の瑞々しさが損なわれてしまうし、繊細な芸術品であるため運搬の振動に耐えられない。

だから、この場で直接手を施し生けることになる。

加住先生は華道家というよりはアーティストの部類に入る人で、日本古来の生け花の伝統を引き継ぐというよりは、規制概念を覆す作品を生み出すクリエイターだった。

海外で個展を開くほど著名で、世界的にも注目されていたらしい。

その娘さんである喜美江さんも、きっと斬新な作品を作るに違いない。

一足先に階段を降りた颯志くんは、私を手招いて喜美江さんに紹介してくれた。
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