かりそめ婚!?~俺様御曹司の溺愛が止まりません
「……そうなのね。おめでとう! じゃあ、今日はお祝いもかねて豪華に飾らせてもらうわね!」

驚いた顔をすぐさま笑顔に戻して、喜美江さんはあらためて私の手を握り直してくれた。

そこへ、大きな荷物をふたりがかりで抱えた運搬業者が背後を通り、荷物の端が喜美江さんの肩に当たってしまった。

「きゃっ」

喜美江さんは草履を滑らせバランスを崩す。

「喜美江!」

咄嗟に一歩を踏み出して彼女を支えたのは、私の隣にいた颯志くんだった。よろけた体をその身で受け止め肩を抱く。

業者のひとりが「申し訳ありません!」と大きな声をあげ、その場で荷物を降ろそうとしたが、「大丈夫よ、行って」喜美江さんが毅然として答えたから、彼らは「失礼しました」と声をあげてそのまま屋敷の奥へと荷物を運んでいった。

「大丈夫だったか?」

「ええ……ありがとう、颯志くん」
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