かりそめ婚!?~俺様御曹司の溺愛が止まりません
颯志くんを見上げる喜美江さんの目は、どことなく艶っぽくて、見ているこちらがドキリとしてしまった。

私よりずっと年上だからだろうか、私では決して放つことのできない、たおやかで、しっとりとした色気がにじみ出ている。

でも……どうしてそんな目を颯志くんに向けるのだろう?

颯志くんの瞳も見ればなんだか熱っぽくて、必死に逃げ場を探して視線を漂わせている。なにより――。

……颯志くん、今、『喜美江』って呼び捨てにした……?

ふたりは気まずそうに目を逸らすと、すぐさま体を離し、元いた場所に立った。

このふたり……なにか……?

説明できない違和感に、言葉を詰まらせていると。

「――そうだ! おふたりもご覧になる? これから花を生けるのだけれど」

喜美江さんが明るくパンと手を打ち、気まずさを払拭する。
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