かりそめ婚!?~俺様御曹司の溺愛が止まりません
「せっかくだが、これから会食に行く予定になっているんだ。母と待ち合わせていてね」

「そう。じゃあ、ぜひ、出来上がった姿をご覧になってね」

「楽しみにしている」

喜美江さんの笑顔が私の方にも向けられたから、私は「ありがとうございます」と微笑み返して一礼した。

「それじゃあ……また」

颯志くんはすれ違いざまに喜美江さんへ視線を送った後、私の肩を抱いて足早に玄関門へ歩き出した。

喜美江さんとの距離が離れたところで、私は恐る恐る颯志くんへ切り出す。

「颯志くん」

「なんだ」

「今の……喜美江さんって……」

言いかけたものの、私の違和感はとてもぼんやりとしたもので、なにを質問したらいいのかもわからない。

「……お祝いのお花、今度、見に来てもいいですか?」

悩んだ末にそう尋ねると、「ああ。もちろん」と前を向いたまま答えてくれた。
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