かりそめ婚!?~俺様御曹司の溺愛が止まりません
久しぶりの颯志くん……そして食事の約束……考えるだけで緊張して鼓動が速くなってくる。

どうして急に会おうと思ってくれたのだろう? 私に話って、なに?

気持ちが昂って落ち着かない。私の頭の中は疑問符でいっぱいだ。

不意にかき乱された脳内で、六年前、彼と最後に会ったときのワンシーンが再生される。

『そういうのは、大人になってからな』

意を決して告白した私を、彼はそう言ってあしらうと、手の届かない大人っぽい笑みを浮かべて私の頭をくしゃくしゃと撫でた。

考えてみれば当然だ。そのとき、彼はすでに二十四歳の社会人で、私はまだ十八歳の学生だったもの。門前払いである。きっと、考えるまでもなかったんだと思う。

今や私は二十四歳――あの時の彼と同じ年齢だ。そして彼はもうすぐ三十歳になる。

……私、彼の中でちょっとは大人になったかな?

振られたとはいえ、嫌いと言われたわけではない。もしかして、大人になった今なら――そう期待してしまうのは、都合がよすぎるだろうか。
< 7 / 218 >

この作品をシェア

pagetop