かりそめ婚!?~俺様御曹司の溺愛が止まりません
若い頃に一度だけ、本気で心奪われた女性もいなくはないが――。

あれは……カウント外だな。

自分の心の声に同意し頷く。幼い頃のあやまちだったといって間違いない。

恋愛の仕方がわからなくなってしまったのは、その一度のあやまち――とある女性がきっかけであったことには違いないのだが、今ではまったく未練もないし、引きずるような話でもないから、なるべく考えないようにしている。

お互い、すでに別々の人生を歩んでいるのだから、これ以上掘り返すことではないだろう。

彼女とは無駄に関わらないように、セーブしている。それがお互いのためだ。


母と会食をした帰り道。俺は瑠莉を家まで送るために、送迎用のハイヤーを頼んだ。

ちなみに母は秘書の運転する仕事用の車で家に帰るそうだ。

ハイヤーの後部座席に瑠莉とふたり並んで座って、最初はぽつぽつと世間話を交わしていたけれど、今は無言だ。
< 75 / 218 >

この作品をシェア

pagetop