かりそめ婚!?~俺様御曹司の溺愛が止まりません
俺がプロポーズを告げてから、瑠莉の笑顔はすっかり消えてしまった。この一週間、思い悩んでいたのがありありとわかる。

……喜んでくれると思ったんだが。

さすがにそこまで単純に事は運ばなかったらしい。

戸惑っているのだろう、久々に再会したと思ったら、突然のプロポーズ、信じられないのも無理はない。

――大きくなったら、お嫁さんにしてくれって、言ってたじゃないか。

もちろん、そんな約束を律儀に守るためにプロポーズしたわけではない。

ちゃんと理由があって彼女を選んだ。

「……悪い。行き先を変えてくれ」

俺が運転手に声をかけると、隣の瑠莉はハッと顔を上げた。

「どこへ行くんですか?」

「俺の自宅。実家じゃないぞ」

「颯志くんの……家?」

彼女はキョトンと目を丸くする。
< 76 / 218 >

この作品をシェア

pagetop