かりそめ婚!?~俺様御曹司の溺愛が止まりません
彼女にプロポーズをしようと考えたのは、今まで出会った女性の中で誰よりも信頼できると思ったから。

そしてなにより――大切だったから。

母親に見合い写真を並べられ、誰がいいかと尋ねられたけれど、写真の中の相手に人生など捧げられなかった。

そのとき頭に浮かんだのは、瑠莉の顔。

幼い頃は妹のように感じていたし、そこに男女の感情はなかった。

それでも、家族として誰よりも愛していたし、俺の手で幸せにしてやりたいとも感じていた。

『自分の人生を捧げてひとりの女性を幸せにする』――結婚をそう定義づけるのであれば、相手は瑠莉がベストだろう。

会わなくなって、六年経った今でもそう思えるのだから、きっとその決意が揺らぐことはない。一生、瑠莉を家族として愛していける。

恋愛感情など、なくてもいい。瑠莉への、不変の愛情があれば。

――と思っていたのだが。
< 82 / 218 >

この作品をシェア

pagetop