かりそめ婚!?~俺様御曹司の溺愛が止まりません
「私、嬉しいんです。お母さまにも、お父さまにも、沙之くんにも祝福してもらえて。こんなに幸せな花嫁、他にいないなと思って」

っておい。どうして母親やら父親やら、弟の名前は出るのに、俺の名前は出ないんだ。

まず、俺にプロポーズしてもらえて、幸せ、じゃないのかよ。

「俺は?」

眉間に皺を寄せて問いかけると、瑠莉は「はい?」と首を傾げた。

「『俺と結婚できて幸せ』がどうして最初に出てこないんだ」

瑠莉の頬をつつくと、彼女は困った顔をして視線を逸らした。

「……颯志くんも、幸せだと思ってくれていますか?」

彼女の瞳がじわっと滲んだ。そのうち、耐えられなくなったのか、ぽろぽろと涙がこぼれ落ちてくる。

なぜ泣く。
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