かりそめ婚!?~俺様御曹司の溺愛が止まりません
「……それは、俺が幸せに見えていないってことか?」

ため息を交じらせると、彼女はうっと嗚咽を漏らして、袖で涙を拭った。

「……どうして伝わらないんだよ……」

抱きしめて、彼女の胸元に顔を埋めながら、うなだれた。

どうしたら信じてくれるんだ。俺が、お前を、のぼせるほど愛してるって。

「お前は、俺が嫌々結婚するとでも思っているのか?」

顔を上げると、彼女はこくりと頷き、まさかの肯定。

「だって……お父さまの手術のために、仕方なく――」

「ちょっと待て、さすがの俺でも、親父のために納得のいかない相手と結婚なんかしないぞ」

瑠莉の前に顔を持っていくと、彼女はうっと呻いて押し黙った。
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