かりそめ婚!?~俺様御曹司の溺愛が止まりません
「ようこそいらっしゃいました」

まず出迎えてくれたのは、昔から颯志くんにお仕えしている執事の前島さんだ。

私も小さい頃から度々お世話になっており、当時よりちょっぴり歳を重ねて皺の増えた笑顔で私を迎えてくれた。

「お花を見に来られたのですね。もし瑠莉さんがひとりでいらっしゃることがあれば、丁重にお迎えするように颯志さんから言われております」

どうやら颯志くんは、私がひとりでここに来るとお見通しだったらしい。

エントランスホールに足を踏み入れると、大きな生花のモニュメントがまず目に入ってきて、私は「わぁ」っと声をあげた。

真っ白なバラとスイートピーの花々がアーチを作っていて、ゴールドとシルバーのレースが絡み合い、パールのカーテンがアーチの周囲を彩っていた。

お祝いというに相応しい、煌びやかなモニュメントだ。

神楽邸に来るたびに飾りつけられた花々を目にしてきたけれど、こんなに豪華なのは今回が初めて。

こんなにも華やかな装飾を、私と颯志くんのために……その心遣いに胸が温かくなる。
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