かりそめ婚!?～俺様御曹司の溺愛が止まりません

「……今度こそ？」

どういう意味なのだろう？　

首を傾げると、お父さまはフッと表情に影を落とし、遠い記憶を思い返すように、ここではないどこかに視線をやった。

「瑠莉ちゃんには、話しておこうと思う。私たち夫婦は、颯志へひどいことをしてしまった……」

「え……？」

お父さまの眼差しが真剣なものへと変わる。

重たいものを背負った眼で、すうっと息を吸い込んでひと呼吸つくと、遥か遠くを見つめながら話を切り出した。

「……もう、五年も前のことだ。颯志がとある女性とお付き合いをしているという噂を小耳に挟んだ。
その女性は離婚の経験があり、子どももいるという。当時の私と母さんは、その女性が颯志の相手には相応しくないと判断した。
今思えばくだらないこだわりでしかないのだが……颯志の相手には、未婚の純潔なお嬢さんがいいと思ったんだ。後継者の問題もあるしな。
だから、裏から手を回して、ふたりが破局するように仕向けた」

破局するように……仕向ける？

話を聞いて、愕然とした。そんなことをお父さまとお母さまが……？