かりそめ婚!?~俺様御曹司の溺愛が止まりません
「颯志くんとその女性に、なにをしたんですか……?」

震える声で尋ねると、お父さまは難しい顔のまま瞳を閉じ、静かに続きを話してくれた。

「具体的には、その女性に縁談の話を持ちかけた。経済的に豊かな男性をね。
シングルマザーで生活に困っていたようだし、彼女自身も歳の離れた颯志とこれ以上付き合うことに躊躇いを感じていたようだった。
その女性は私たちが用意した男性と籍を入れ、颯志は捨てられた形になった」

颯志くんが、捨てられた……?

愛する女性が自分を裏切って、違う男性と結婚してしまうなんて……どれだけショックを受けたことだろう。

颯志くんの心のうちを思って、ズキンと胸が痛くなった。

「これで一件落着かと思った。だが、どうだろう、それ以降、颯志はフラフラと遊び歩くばかりで、女性とまともなお付き合いをしなくなってしまった。私たち夫婦は、やっと颯志をひどく傷つけてしまったことに気がついた。もう二度と恋愛が出来なくなってしまうほどに……」
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