かりそめ婚!?~俺様御曹司の溺愛が止まりません
そこまで話したところで、お父さまは私に顔を向けた。

戸惑い震える私を見つめて、眉を下げて申しわけなさそうに告げる。

「ずっと罪悪感を抱えながらも、この罪を颯志本人に打ち明けられずにいた。だから、瑠莉ちゃんと結婚したいという颯志の言葉に、私たちは心底ホッとしたよ。傷つき、真剣な交際を遠ざけてきた颯志も、君になら心を許すことが出来たのだろう。そして君なら、間違いなく颯志を幸せにしてくれる」

再び私の手を取って、祈るように額をつけた。神頼みでもしているかのように、掠れた声を絞りだして懇願する。

「この話は、君の胸の内にしまっておいてほしい。そしてどうか、颯志を幸せにしてやってくれ。君は、颯志にとって唯一愛することの出来る女性なんだ」

……お父さまは誤解している。

颯志くんは、私を愛してはいない。

彼の心の中には、まだその女性がいるのだと、直感的に悟ってしまった。
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