かりそめ婚!?~俺様御曹司の溺愛が止まりません
だから、私を抱いてくれないの?

自分に言い聞かせるように、何度もキスを求めてくるの?

いくら私にキスを重ねても、颯志くんの中にある渇望は消えることがないから……。

この先、どんなに私が頑張っても、その女性を超えることはできないのだろう。

私は、颯志くんの中に眠る過去の亡霊相手に、一生嫉妬心を燃やし続けなければならないのだろうか。

颯志くん……。

とはいえ、お父さまの前では、はい、と頷くほかなくて。

お父さまとの話を終えて部屋を出ると、廊下の少し先に沙之くんが立っていて、私の姿に気がつき、ちょっぴり申しわけなさそうに微笑んだ。
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