Typhoon Of Love
⑫ (叶美サイド)
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「そっか…見られちゃってたか…」



龍人は頭をかき、少しでも冷静にいようとしている。

私は今にも声をあげて泣き出しそうになったが、震えながらも、龍人を見つめて我慢していた。



「最初は気休め程度に一緒に帰ったりしてただけだった」



「でもね、私たち、知ってるじゃない?求める相手がこれから先、絶対に自分には振り向かないってこと。だから、そのうち同じ傷を負う者同士、惹かれあったみたい」



龍人と沙姫は微笑みあった。

辛く、苦しく、悲しい笑顔で。


私も彼らを見て、心が痛んだ。

こんなにも傷つけてしまったのかと。

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