Typhoon Of Love
⑮ (叶美サイド)
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階段を無言で降りていった。



「お前、本当に平気なのか?」



一真がそんなことを私に聞いてきたが、ニッコリ笑って一真に話した。



「やっぱり好きな人に騙されたって思うと悲しいけど…思うことははっきり言って欲しいって思ったけど…。それでもはっきり言ってくれたから、逆にすっきり」



「これから龍人とは…どうするの?」



一真はその質問をしてから、しまった、という表情をしたが、気にせずに話した。



「龍人には沙姫がいるもん。私を好きでいてくれたことがあるから、それでいいよ。…それに…」



「それに?」



一真は私の顔を見ている。
優しそうな笑顔で。


私は深呼吸してから言った。



「それにね、今更私、気付いた。龍人もいい人だけどさ、それ以上にいい人がこんなに目の前にいた」


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