Typhoon Of Love
⑰ (叶美サイド)
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「返事が遅くなってごめんね」



「いや、別に気にしてねえよ。結局こうなれたんだもん」



そう言って繋いだ手を掲げて見せた。



「初めての告白も、初めてのキスも、初めての彼氏も…龍人に取られちゃったね。遠回りしちゃったね」



「初めては残るかもしれないけど、オレで埋め尽くしちゃえばいいじゃん」



2人で笑い合っていると、ふと一真は余計なことを思い出した。



「あ、そういえば来週テストじゃん!!叶美、教えて!!」



「じゃあ私の家まで競争!!私より先に着いたら教えてあげる」



そう私は言って、階段を駆け抜けた。



「おい、陸上部ずりーぞ!!」





この日は台風一過のように綺麗な青空だった。



台風のように私に傷を残した恋だったけど、今は台風一過のようなこの空のように私の心は澄み渡っています。



―fin―

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