Typhoon Of Love
⑩ (叶美サイド)
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「それよりさ、こっちもすごいんだけど」



ともくんが指差す方向にも、黄色い声援を浴びる男子がいた。



「さすがエース…」



県大で1位を取ってからこの一週間。
一真に負けず劣らずの声援を浴びる陸上部のエース…

―吉井 龍人 15歳―

彼は一真と違って、彼女たちにはファンサービス(?)はしない。
練習に集中して取り組んでいる。



「さすがだよ、吉井くん」



「矢吹とは正反対ね」



「吉井のああいう姿勢から関東大会に進める実力が生まれんだな。…それに比べて矢吹一真は…」



私たちはもう一度振り返ると、彼はファンに向かって、投げキッスなんてしちゃってる。



「「「はあーー…」」」



3人揃って溜め息をついた。


「せんぱーい、やんないんすか?」



「あーあ、エースに部長が怒られてやんの」



「うっせ!!お前らもやれよ」



「はいはーい」


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